ハンマートウ(Hammer Toe)は、足の指(通常は第2~5趾)が変形し、関節が曲がった状態を指します。この変形により、趾がハンマーのような形状に見えることから、ハンマートウと呼ばれます。主に、趾の先端が下向きに曲がり、中央の関節が上向きに曲がることで、この特徴的な形状が生じます。
ハンマートウは、長時間の間に緊張と不均衡が関節にかかることで発生することが一般的です。以下は、ハンマートウの主な原因です。
1.遺伝的要因
2.間違った靴の選択(つま先が狭い靴や、高いヒールを履くこと)
3.足の筋肉の不均衡・足のアライメント異常
4.関節の炎症や損傷
5.糖尿病や神経障害
屈趾症(ハンマートウ)は、足趾が常に曲がっている状態であるため、痛みや不快感を引き起こしたり、胼胝(たこ)ができたりすることがあります。この状態を評価するために、以下の検査が行われる場合があります。
足の観察:足の形状、足指の曲がり具合、足の爪の形などを観察します。
神経機能評価:神経の損傷が原因で屈趾症が起こる場合があるため、神経機能の評価が行われます。
歩行評価:屈趾症が歩行にどのような影響を与えるかを評価します。
X線検査:屈趾症の原因となる足の骨の異常を確認するために、X線検査が行われる場合があります。
MRI検査:神経や軟組織の異常を確認するために、MRI検査が行われる場合があります。
血液検査:関節炎やリウマチ、糖尿病など、屈趾症を引き起こす可能性のある他の疾患を除外するために、血液検査が行われる場合があります。
ハンマートウが進行すると、以下のようなリスクや問題が生じる可能性があります。
痛みの増加:ハンマートウが進行すると、趾の関節がさらに曲がり、靴との摩擦が増加し、痛みが悪化することがあります。
魚の目や胼胝の形成:曲がった趾が靴と繰り返し摩擦することで、趾の皮膚に魚の目や胼胝ができることがあります。これらは、さらなる痛みや不快感を引き起こすことがあります。
感染のリスク:魚の目や胼胝が切れたり潰れたりすると、感染のリスクが高まります。特に、糖尿病患者や免疫力が低下している人の場合、感染は重大な問題となることがあります。
関節の拘縮:ハンマートウが長期間進行すると、関節が拘縮し、硬くなります。これにより、趾を伸ばすことが困難になり、歩行や靴の履き心地に影響が出ることがあります。
歩行障害:痛みや趾の変形が悪化すると、歩行時の痛みや不快感が増すことがあります。その結果、歩行障害やバランスの問題が生じることがあります。
抗炎症薬や鎮痛剤の服用: 痛みや腫れを軽減するため、抗炎症薬や鎮痛剤を使用することがあります
また、テーピングや指サックなどで保護、矯正を行うことがありますが、根本的には改善しません。
装具療法;関節変形の原因が足部のアライメント異常や骨格異常である場合には、医療用インソール(オーソティックス)などを使用することで、関節への負担を軽減し、痛みの緩和や症状の進行の防止を図ることができます。膝の状態に合わせた関節ポジションに骨格を矯正し、また体重を支える硬度のある固い装具が必要になります。
症状が重度である場合や、保存療法が効果を示さない場合には、外科的治療が検討されます。手術では、関節の固定や筋肉・腱のリリースが行われ、趾の正常な形状が回復されることを目指します。
初期状態のハンマートウの場合、日帰り手術にて局所麻酔だけで痛みもほとんどなく、関節内に特殊な器具で関節膜を切除することで治療できますので、できるだけ早期のうちに受診相談をすることを推奨します。
ハンマートウに対するリハビリテーションの内容と効果は、関節の状態により異なります。まず、曲がった関節が固まっている(関節拘縮)場合、関節のストレッチが行われます。この場合、関節が柔らかくなり変形が改善するかは、拘縮が完全に固まっているかどうかに影響されます。トレーニングで改善が可能な硬さであれば、変形の改善が可能です。
一方で、関節の硬さは存在せず、足の筋肉のアンバランスで変形が生じている場合、的確な筋力トレーニングにより変形が軽減することが見込めます。
つま先が広く、柔らかい素材の靴を選ぶことで、趾への圧力や摩擦を軽減できます。また、適切なヒールの高さも重要です。
趾の筋肉を強化し、柔軟性を向上させることで、ハンマートウの症状を軽減する可能性があります。
趾の装具やパッド: 趾を適切な位置に保つための装具や、摩擦を軽減するためのパッドを使用することが効果的です。