中足骨頭部痛(ちゅうそくこっことうぶつう)は、足底部にある中足骨頭部(ちゅうそくこっとうぶ)に痛みが生じる疾患のことを指します。中足骨は、足首と足先を繋ぐ骨であり、その先端部分を中足骨頭部と呼びます。この部位に痛みが生じることがあり、中足骨頭部痛と診断されます。
中足骨頭部痛の症状は、足底部に痛みが生じることがあります。痛みの程度は軽度から強いものまであり、歩行時や運動時に痛みが増悪することがあります。また、足底に圧力をかけることで痛みが生じることもあります。
中足骨頭部痛の原因は、足底の負荷が大きくなることで中足骨頭部に微小な骨折が生じることが考えられます。また、スポーツの過剰な負荷や、過度な高跳びやジャンプなどの運動による負荷、長時間の立ち仕事や重い荷物の運搬などが原因となることがあります。
アーチの異常(凹足、扁平足)や骨格異常、足部のアライメント異常がある場合に強い負荷をかけることで発症する場合があります。
中足骨骨頭部痛の検査としては、以下のようなものがあります。
診察:足の痛みを訴える患者に対して、足の検査や歩行評価、痛みを引き起こす可能性のある特定の動作の評価が行われます。
レントゲン検査: 中足骨の骨頭部の状態を確認するために、レントゲン検査が行われます。
超音波検査:超音波にて直接痛みのある部分を観察し、炎症の程度や骨棘などを調べます。
MRI検査: MRI検査は、中足骨骨頭部の損傷や炎症を詳細に評価するために行われることがあります。
血液検査:中足骨頭部痛が引き起こされる原因として、関節リウマチや痛風などの疾患が考えられるため、血液検査が行われることがあります。
骨シンチグラフィー:骨の新陳代謝を評価するために行われる検査で、中足骨頭部痛の原因として骨の異常を評価するために行われることがあります。日本ではほぼ行われません。
中足骨頭部痛が進行した場合、痛みが慢性化し、歩行や運動に支障をきたすことがあります。また、足底の負荷が長期間かかることで、中足骨頭部に慢性的な変形が生じる場合があります。疲労骨折を起こすこともあります。さらに、中足骨頭部痛によって歩行や運動が制限されることで、体力低下や運動不足による生活習慣病のリスクが高まることがあります。
薬物療法:炎症や痛みを抑えるための薬物療法を行うことがあります。例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やステロイド剤などが使用されます。
注射療法:中足骨頭部やMP関節内にステロイド注射をすることで炎症と痛みを素早く抑えます。
装具療法:医療用インソール(オーソティックス)などを使用することで、中足骨頭への負担を軽減し、痛みの緩和を図ることができます。足の構造と中足骨頭へ負荷が集中する原因となる歩行の特徴を改善する関節ポジションに骨格を矯正し、また体重を支える硬度のある固い装具が必要になります。→詳細はこちら
LIPUS:中足骨頭部に骨挫傷など骨の炎症がある場合、超音波治療を行うことによって骨の損傷の回復を早める治療です。
体外衝撃波治療:体外衝撃波療法(ESWT: Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、超音波のエネルギーを利用して、体外から皮膚や筋肉を通じて、患部の組織に高周波の衝撃波を送り込む治療法です。こちらは足底腱膜炎でない場合は、自費治療となります。→詳細はこちら
装具療法などで改善が見込めない場合には、足底筋膜切開術、中足骨縮小術、中足骨骨頭切除術などの手術が必要になる場合があります。
中足骨頭部痛は、中足骨頭への歩行中の圧の集中が原因の一つとなります。圧が集中する要因が扁平足、凹足などの足部変形の場合、リハビリテーションによる改善効果が期待できます。
扁平足では、内側縦アーチが低下します。内側縦アーチの低下は、歩行時に踵が挙上する際、アーチ部分がグラグラの状態のため、非常に不安定であり、かかとが浮いている間の中足骨頭部での荷重時間の延長に繋がります。このため、中足骨頭部への負荷の増大に繋がります。したがって、リハビリテーションでは、アーチを保持する筋群のトレーニングを実施することが重要となります。
また、凹足の場合、扁平足と異なり内側縦アーチが上昇します。アーチが上昇すると足の骨が密着するためとても硬い足部へと変化します。凹足では、多くの方が踵と中足骨頭部だけで荷重をうける状態になってしまいます。このため、中足骨頭部への負荷が増大します。したがって、アーチ部分を構成する関節を柔らかくする運動を行う必要があります。
・後脛骨筋の筋力トレーニング
・長腓骨筋の筋力トレーニング
・ショパール関節のストレッチ
・距骨下関節のストレッチ