足底腱膜線維腫(そくていけんまくせんいしゅ)

Plantar Fibroma

足底腱膜線維腫(そくていけんまくせんいしゅ)

足底腱膜線維腫とは?

足底腱膜線維腫(Plantar Fibroma)は、足底にある腱鞘や靭帯にできる良性腫瘍の一種です。主に足底アーチ(縦アーチ)の下部に発生し、直径が1~2cm程度の小さなものから、アーチ全体を覆う大きなものまで、様々な大きさのものがあります。足底腱膜線維腫は、一般に痛みを引き起こし、足底アーチが平らになることで足底に負担がかかることから、足底の疼痛や痛みを伴う腫れ、痺れ、足底のしびれ感などの症状を引き起こします。

足底腱膜線維腫の原因は?

足底腱膜線維腫の原因は明確にはわかっていませんが、以下のようなリスクファクターが関与していると考えられています。

遺伝的な要因:家族歴がある場合には発症しやすい傾向があります。

加齢:足底腱膜線維腫は加齢に伴って発症することが多いとされています。

足の負荷:足底に常に負荷をかけるスポーツ、長時間の立ち仕事、重い荷物を運ぶことなどが原因となることがあります。

足部の異常:扁平足や外反母趾など足の形の異常がある場合には、足底腱膜線維腫が発症しやすくなるとされています。

肥満:肥満は足底に負荷をかけるため、足底腱膜線維腫の発症リスクが高まるとされています。

症例

足底腱線維腫の診断には、主に次の検査が行われます。

診察:足の症状や歩行などを観察し、痛みの原因や病因を特定するために行われます。

超音波検査:超音波検査にて足底腱膜の腫脹や腫瘍、踵の骨のとげなどを観察します。

レントゲン検査:足底腱膜線維腫以外の原因を除外するために、踵の骨のとげなど異常などを確認するために行われます。

MRI検査:足底腱膜線維腫の確認や炎症の程度を確認するために行われます。

血液検査:炎症や関節リウマチなどの他の病気を除外するために行われます。

足底腱膜線維腫が進行した場合のリスク

足底腱膜線維腫は、大きくなりすぎると足底の痛みや圧迫感を引き起こし、歩行や日常生活に支障をきたすことがあります。また、線維腫が断裂することによっても痛みや感染、出血が起こる可能性があるため、早期の治療が重要です。線維腫が悪性化して悪性線維腫となる場合もありますが、このリスクは比較的低いとされています。

足底線維腫の治療方法

保存療法(手術しない治療法)

装具療法:足底腱膜への負担を軽減する目的で医療用装具(インソール、短下肢装具)を作成して骨格異常を是正します。体重を支えるため硬度の高い(固い)装具が必要になります。

足底腱膜線維腫の原因のひとつは足底への過度な圧力になるので圧力をなくさないと再発する可能性が高いです。

体外衝撃波:体外衝撃波療法(ESWT: Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、超音波のエネルギーを利用して、体外から皮膚や筋肉を通じて、患部の組織に高周波の衝撃波を送り込む治療法です。体外衝撃波によって炎症部位に集まっている神経を変性・破壊し、新たな組織の再生を促します。足底腱膜線維腫に対して行う場合は自費になりますが、線維腫によって難治性の足底腱膜炎が起こっている場合には保険適応となります。→詳細はこちら

注射療法:ステロイドを足底腱膜線維腫に直接注射することによって炎症を下げ、線維腫自体が小さくなることもあります。頻回の注射は断裂を起こしたり、副作用が起こりやすくなるため注意が必要です。

手術療法

足底線維腫が大きくなり、歩行時に痛みや不快感がある場合は手術が必要になることがあります。線維腫を摘出する手術を行います。

リハビリテーションによる改善効果

足底線維腫のリハビリテーションの目的は、症状の軽減や再発予防を目的として、足底の筋力や柔軟性を改善することです。

足首や足部のストレッチング

足首や足部の筋肉をストレッチすることで、足底腱膜を柔らかくすることを目指します。足底の筋肉をストレッチすることで、足底の緊張を緩和し、足底に加わる負担を取り除き、痛みの緩和を目指します。

足のアーチを支える筋肉の改善

足のアーチを支える、後脛骨筋や長腓骨筋、長母趾屈筋、母趾外転筋など足のアーチを支える筋肉を強化することで、扁平足や外反母趾など足の形の異常を改善したり、予防することで、足底に加わる負担を減らすことを目指します。

日常でできる予防対策

足底線維腫の予防方法としては、以下のようなことが考えられます。

適切な靴を履く

履く靴が合わないと、足に負担がかかって線維腫ができやすくなります。靴選びの際には、足の形やサイズに合わせたものを選びましょう。

足裏の清潔を保つ

足裏を清潔に保つことで、汗や皮脂などが蓄積されて線維腫ができるのを防ぎます。

運動をする

足裏の筋肉を鍛えることで、足底線維腫を予防することができます。適度な運動を心がけましょう。

適切な姿勢を保つ

足底に過度の負荷がかかるような姿勢を取らないように気を付けましょう。例えば、長時間の立ち仕事をする場合には、足裏にクッション性のある靴やインソールを使用することを考慮してください。

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