骨端症

apophyseopathia

骨端症

骨端症とは?

「骨端症」(こったんしょう)という用語には、いくつかの異なる疾患が含まれ、また、成長期の骨端にある軟骨組織の形成や変形に関する様々な病気が含まれますが、一般的にはこどもに多い病気で、成長期の骨端に発生する病気を指します。具体的には、成長期の骨端において骨や軟骨が異常に発育する「骨端異形成症」や、成長期の骨端において骨の形成や修復の際に異常が起こり、骨が変形する「成長期骨壊死症」があります。また、成人後に発生する骨端病変もあります。

骨端異形成症は、症状や影響の程度によって様々な症状が現れることがありますが、以下は代表的な症状です。

・骨の成長が遅れる

・胸郭が狭い

・脊椎の側弯症(脊柱側彎症)がある

・脊椎の形態が変形する

・手足の指が短くなる

・頭蓋骨の形態が変形する

・歯の生え方が異常である

・聴力障害や難聴がある

・智能が低下している(IQの低下)

・重度の痙攣がある

・腎機能不全や腎臓疾患がある場合がある

・開放性脊椎管(脊髄が外に露出する状態)がある場合がある

・風圧を感じると激痛が走る「反射性副交感神経性ジストロフィー」という疾患がある場合がある

成長期骨壊死症の症状には以下のようなものがあります。

・長時間の運動後や、急激な運動の後に関節周辺の痛みや炎症が生じる

・疲労骨折を起こす

・関節が固まったように動かなくなる

・骨に変形が生じる

・歩行時に痛みがある

・腰痛、股関節痛などが生じる

・ふくらはぎの痛みや腫れ、または膨らみがある場合がある

骨端症の原因は?

骨端異形成症の原因には遺伝的な要素があります。遺伝子に異常が生じることによって、骨の成長が不正常になり、骨端が変形した状態で成長するため、骨端異形成症が発症すると考えられています。ただし、この疾患に関しては詳しい原因はまだ解明されていない部分もあります。
成長期骨壊死症の原因は、骨に対する血流の不足によるものです。骨は血液によって酸素や栄養素を供給されているため、血流が悪くなると骨が死滅してしまいます。成長期骨壊死症は、特に膝関節の骨が影響を受けることが多く、膝蓋骨や大腿骨の頭部に発症することが多いとされています。具体的な原因としては、スポーツなどの過度な負荷、骨折、脱臼、ステロイド薬の使用、骨がんや骨髄炎などが挙げられます。また、原因が不明な場合もあります。

症例

骨端異形成症、または成長期骨壊死症検査には、主に以下のものがあります。

X線検査:骨端の異常を確認するために行われます。X線写真では、骨端が不均一になっていることがわかります。

超音波検査:超音波にて骨の変形や関節液の貯留などを調べることができます。

CT検査:骨端異形成症の進行状況を詳しく把握するために行われます。X線検査よりも高精度に異常箇所を捉えることができます。

MRI検査:骨端の組織や血管の状態を評価するために行われます。骨端の異常だけでなく、周囲の軟部組織についても評価することができます。

血液検査:炎症反応を調べるための血液検査が行われることがあります。また、病因によっては、骨の代謝に関する指標などを調べることがあります。

骨端症が進行した場合のリスク

骨端異形成症や成長期骨壊死症の場合、病気が進行すると骨が歪み、関節の可動域が制限されたり、歩行に支障をきたすことがあります。また、長期間にわたって痛みが続いたり、治療を受けないままに放置すると、慢性的な疼痛や関節の変形、骨折や脱臼など、より重篤な合併症が発生するリスクがあります。早期に治療を行い、適切なケアを行うことが重要です。

骨端症の治療方法

保存療法(手術しない治療法)

保存療法:初期の場合や症状が軽い場合は、安静や身体活動の制限、歩行器や松葉杖を用いた荷重制限、炎症の抑制や鎮痛剤の投与などの保存的治療が行われます。

特殊装具や運動療法:特殊な装具を使った治療や、理学療法などの運動療法が行われることもあります。特殊装具は、症状の軽減や進行の予防、骨の癒着促進などの効果があります。運動療法は、骨や筋肉の強化や関節の可動域拡大、姿勢の改善などを目的として行われます。

装具療法:関節や骨の負担を軽減する目的で医療用装具(インソール、短下肢装具)を作成して骨格異常を是正します。体重を支えるため硬度の高い(固い)装具が必要になります。

薬物療法:痛みを和らげるために、痛み止めや抗炎症薬を使用することがあります。

体外衝撃波治療:体外衝撃波療法(ESWT: Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、超音波のエネルギーを利用して、体外から皮膚や筋肉を通じて、患部の組織に高周波の衝撃波を送り込む治療法です。骨端症の場合は自費治療になります。小児の骨端症では骨端線早期閉鎖のリスクがあるため通常よりエネルギーを落として行います。 →詳細はこちら

LIPUS治療:LIPUSは、超音波音波療法の一種で、低強度の超音波を照射することによって骨の修復を促す治療法です。疲労骨折や骨折後の骨の治癒を40%程度早めるために使用されることがあります。LIPUSは非侵襲的で、一般的に安全性が高いとされています。痛みを伴いません。

再生医療:PRP療法や培養上清エクソソーム療法による炎症の緩和と組織修復の改善ができる場合があります。(自費診療のみとなり、標準治療で改善されないケースでのみ適応)

手術療法

症状が進行している場合や、保存療法で改善しない場合は、外科的治療が行われることもあります。

リハビリテーションによる改善効果

骨端症は、身体の運動機能の問題で生じる病気ではないため、リハビリテーションによる直接的な改善効果は得られにくい病気と言えます。

しかし、病気の治療の過程で安静なのどが必要な場合、関節が固くなったり、筋力が低下してしまうことがあります。リハビリテーションでは様々な方法で、関節の可動性を維持したり、筋力を維持したりすることで、骨端症が治療終了後に、運動が問題なくできるように関わることができます。

日常でできる予防対策

骨端症は、その原因が日常生活の習慣や運動が影響しているものではないと考えられるため、日常でできる予防対策はありません。

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