X脚とは、脚が内側に強くカーブした状態で、両足をつけてまっすぐ立とうとすると、両方の膝がぶつかってしまい、両足の内くるぶしがつかない状態のものをいいます。この状態だと脚が「X」のように見えるため、「X脚」と呼ばれます。X脚は、成人でも見られることがありますが、小児期に多く見られます。
X脚の症状は、歩行時に膝がこすれている感覚や、膝に痛みや違和感がある場合があります。また、脚の長さが左右で異なる場合や、腰痛や足の疲れがある場合もあります。
X脚の原因は、脚の骨の形成や関節の歪み、筋肉の不足などが考えられます。例えば、足のアーチが低い場合には、内側に向かって重心がかかり、膝や足首が内側に曲がり、X脚になることがあります。また、骨の発育不良や、骨折や外傷による治療の影響で歪みが残ることも原因の一つとされています。
小児麻痺は、脳や脊髄の損傷によって引き起こされる神経・筋肉の障害で、下肢の筋肉が弱くなることでX脚が生じることがあります。この場合、X脚は小児麻痺の一症状となります。ただし、X脚は小児麻痺だけでなく、成長期において運動量が少なかったり、体重が過剰であったり、遺伝的な要因が関与している場合もありますのでX脚が小児麻痺であるというわけではありません。
X脚の検査は、まず身体検査が行われます。医師は、患者の歩行を観察し、膝や足首の可動域、筋力、骨格の形状、および身体的特徴を調べます。さらに、X線、MRI、CTスキャンなどの画像検査も行われることがあります。これらの検査は、X脚の原因を詳しく調べるために使用されます。
O脚の検査方法は、主に下肢の骨格構造を評価する方法と、関節可動域を評価する方法があります。
下肢の骨格構造を評価する方法としては、次のようなものがあります。
X線検査:下肢の骨の形態を評価します。施設によっては下肢全長で撮影して評価することが出来ます。
超音波検査:実際関節の変形がないか、関節液の貯留がないか調べることができます。
CT検査:より詳細な骨の評価ができます。
MRI検査:骨以外にも軟部組織の評価ができます。
X脚が進行すると、膝の内側や足首の外側に負荷がかかり、膝関節や足関節の痛みや変形が生じる可能性があります。また、X脚が原因で膝関節の内側側副靭帯や半月板などが損傷を受けることがあります。半月板では外側半月板が傷つきやすくなります。内側側副靭帯は、膝関節を安定させるために外側から内側に向かって走行している靭帯で、内側への膝関節の過度な広がりを防いでいます。一方、半月板は、膝関節内側と外側の骨の間に位置し、衝撃を吸収して膝関節を安定させる働きがあります。
内側側副靭帯や半月板に損傷があると、膝関節の安定性が損なわれ、痛みや腫れ、膝の可動域の制限などの症状が現れることがあります。また、慢性的な損傷が放置されたままになると、関節面の変形や変性、関節軟骨の損傷などのリスクが高まることがあります。そのため、早期の治療が重要となります。
X脚の治療方法は、原因によって異なります。成長期の場合は、足の成長に合わせた骨格矯正を行い、筋力トレーニングをして改善を促すことが多いです。また、医療用足底板を使用することで足のアーチを保持し、適切な歩行をサポートすることもあります。
一方、成長期を過ぎている場合は、手術による骨格矯正が必要な場合があります。手術は、骨を切って位置を調整する方法や、内部から骨を補強する方法などがあります。ただし、手術はリスクも伴いますので、必要性を慎重に判断する必要があります。
運動療法:X脚の原因が筋力の低下による場合、運動療法によって脚の筋力を強化することが効果的です。例えば、ランニングやウォーキング、スクワット、踏み台昇降運動などが有効です。当院では自費リハビリテーションによる治療を提供しています。
薬物療法:O脚の原因が骨や関節の異常による場合、薬物療法が使用されることがあります。例えば、ビタミンDやカルシウムのサプリメント、骨密度を増やす薬物などが使用されます。
装具療法:関節や骨の負担を軽減する目的で医療用装具(インソール、短下肢装具)を作成して骨格異常を是正します。体重を支えるため硬度の高い(固い)装具が必要になります。
骨切り手術:X脚が骨格によるものである場合、骨を切り詰めたり、伸ばす手術が行われることがあります。
軟組織の手術:脚が軟組織の問題によるものである場合、内側側副靭帯の修復や再建、半月板の切除などが行われることがあります。また、足首の外側に人工材料を挿入する手術もあります。
補正器具の使用:軽度から中程度のX脚の場合、装具を使用することで症状を緩和することができます。特に、小児の場合は成長に合わせて調整することができる成長性の装具を使用することが一般的です。
X脚になる原因はさまざまです。そのため、リハビリテーションでは、歩行を中心に動作や姿勢、筋力、関節の柔軟性などを評価し、原因を見極めて行きます。そのうえで、主に、筋肉や関節の柔軟性、バランス能力、姿勢、歩き方など日常の動作の方法などを改善するトレーニングによってX脚の進行を予防したり、X脚にならないようにすることを目指します。
ふとももの前の筋肉である「大腿四頭筋」と言われる筋肉は、膝を伸ばすだけでなく、膝の安定性を高める役割を持っています。そのため、この筋肉が弱くなると、X脚になりやすくなります。リハビリテーションでは、この大腿四頭筋を鍛えていきます。これに加えて、お尻の筋肉や、ふくらはぎの筋肉、体幹の筋肉など、姿勢を整えるのにも必要な筋肉をバランス良くトレーニングしていきます。
関節の柔軟性もX脚の進行や発生に重要です。柔軟性が低くなると、歩行などの動き方が変わり膝の負担が大きくなる場合があります。そのため、膝関節はもちろんのこと、股関節や足首、足部の関節の柔軟性を改善することが大切です。
正しい姿勢を維持することで、足の負担を軽減することができます。座るときや立つときには、背筋を伸ばして、膝を伸ばした状態で体重をかけるようにします。
運動不足はX脚の原因になります。日常的にウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を取り入れることで、足の筋肉を鍛えることは重要です。鍛えることができます。
ハイヒールや細いつま先の靴を履くことは、X脚を悪化させる原因となります。足にフィットする靴を選び、歩きやすい靴を選ぶことが重要です。
体重が過剰な場合、膝足にかかる負担が大きくなります。適正な体重を維持することで、膝足の負担を軽減することができます。
足のストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性を高めることができます。ストレッチは日常的に行い、足の筋肉を健康的に保つようにしましょう。