腓骨筋痙性扁平足/PSFF

peroneal spastic flatfoot

腓骨筋痙性扁平足/PSFF

腓骨筋痙性扁平足(PSFF)とは?

腓骨筋痙性扁平足(peroneal spastic flatfoot)は、腓骨筋が過剰に緊張することによって、扁平足が引き起こされる状態を指します。腓骨筋は、下腿の後面にある筋肉で、足首を伸ばす役割を持ちます。通常、腓骨筋は歩行中に緩和されますが、緊張し続けることで足首が過度に内側に傾き、扁平足を引き起こすことがあります。PSFFは、幼児期から青年期にかけて発症し、特にアジア人に多くみられる疾患の一つです。

腓骨筋痙性扁平足(PSFF)の症状は以下の通りです。

・足底が広がって平らになっている様子

・踵の外側にずれた感覚がある

・足首が内側に回りやすく、外側に曲がりにくくなっている

・足首周辺に痛みや疲れが生じることがある

・足首が不安定で、バランスをとりにくいことがある

・靴がすぐに傷みやすく、靴紐を強く締める必要がある

腓骨筋痙性扁平足(PSFF)の原因は?

腓骨筋痙性扁平足(PSFF)の原因は、腓腹筋(ひふくきん)というふくらはぎの筋肉が緊張し、足底のアーチ(扁平足)が消失することによって起こります。腓腹筋は、足関節の可動域を広げることで、歩行時に体重を支えるための役割を担っています。しかし、腓腹筋が過度に緊張することで、足底アーチが消失し、扁平足になることがあります。この状態が持続することで、足の骨格や筋肉、靭帯などに負担がかかり、足の痛みや疲れ、さらには膝や腰の痛みなどを引き起こすことがあります。

症例

腓骨筋痙性扁平足(PSFF)の検査には、以下のようなものがあります。

身体検査:医師が足の形状や歩行などを観察します。

足圧測定:足の裏にある圧力を測定することで、足底筋膜の硬さを評価します。

足部のX線撮影:足部の骨の形状や骨の発育状態を確認することができます。

MRI検査:足底筋膜や軟部組織の状態を確認することができます。

腓骨筋痙性扁平足(PSFF)が進行した場合のリスク

腓骨筋痙性扁平足(PSFF)が進行すると、足のアーチがさらに平らになり、歩行時の足の疲れや痛みが増す可能性があります。また、変形性関節症や膝や足首の痛み、腰痛、膝の軟骨損傷、骨棘(こっきょく)などの合併症が発生する可能性があります。しかし、適切な治療を行うことで、これらのリスクを軽減することができます。

腓骨筋痙性扁平足(PSFF)の治療方法

保存療法(手術しない治療法)

装具療法:医療用インソール(オーソティックス)を使用することで、足のアーチを補助し、足の疲れや痛みを軽減することができます。足の骨格構造に合わせたニュートラルポジションに骨格を矯正し、また体重を支える硬度のある固い装具が必要になります。

筋力トレーニング: 足の筋肉を鍛えることで、足のアーチをサポートする力を強化できます。特に足底筋(足の裏の筋肉)やふくらはぎの筋肉を鍛えることが効果的です。当院では自費リハビリテーションにより提供しています。

手術療法

保守的治療が効果がない場合や症状が進行している場合には、手術が必要になることがあります。手術の方法は、腓骨筋腱を伸長させる方法や腓骨骨切り術などがあります。手術によって、足のアーチを支える筋肉や靭帯の緊張を緩和し、症状の改善が期待できます。

リハビリテーションによる改善効果

腓骨筋痙性扁平足のリハビリテーションでは、腓骨筋の緊張を緩和することを中心に行いながら、足部機能を高めることを行います。これにより、扁平足の状態の悪化を防いだり、腓骨筋の過剰な緊張が再発しないようにすることを目的に行います。

ストレッチング

ストレッチングや専門的な手技を用いて、高い緊張状態になっている腓骨筋を緩和することを第一に行います。これに加えて、足首や足部の関節の柔軟性を高めます。

筋力トレーニング

足のアーチ構造を保つのに重要な筋肉を中心に筋肉をトレーニングすることで、扁平足の悪化を予防したり、痛みを軽減したりできます。腓骨筋の負担を減らすことができます。

バランストレーニング

足部の筋肉や関節の柔軟性を総合的に機能するために必要なトレーニングになります。これによって、運動時や動作時に腓骨筋の負担を減らすことができます。

日常でできる予防対策

腓骨筋痙性扁平足(PSFF)の予防方法は以下の通りです。

適切な靴を履く

靴底がすり減った靴やつま先の部分が狭い靴など足に合わない靴や、ハイヒールや靴底が極端に高い靴など不安定な靴を避け、フィット感があり、安定して歩くことができるなど、足に負担をかけない靴を選びましょう。

適切な運動

足首や足の指の柔軟性を維持するために、定期的なストレッチをすることは大切です。すねの横の部分に腓骨筋がありますので、マッサージなどを行いケアすることもおすすめです。

適切な姿勢

正しい姿勢で歩行することで、足の筋肉や靭帯に負担をかけずに歩行できます。

適切な体重管理

過剰な体重は足に負担をかけるため、適切な体重管理を心がけましょう。

足のケア

長時間立ち続けたり、座り続けたりすることは、足に負担をかけるため、こまめに休憩をとり、足を上げて血行を良くするようにしましょう。また、足湯やアイシングなど、適切な方法で足のケアをすることも大切です。

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