足装具療法とは特殊な医療用の足装具(靴やインソール)を利用して足病を治療する治療方法です。欧米では一般的な治療方法であり、骨格強制や歩容(歩き方)を矯正する方法として手術の選択の前に最初に検討されるプライマリーケアになります。足装具は米国足病医学の知識に基づいて、足病やひとそれぞれの足の構造に基づいて製作される事で効果を発揮します。
これらの装具は医学的な検査(レントゲン、足底圧検査、歩容解析、関節可動域検査)に基づいて慎重に医師によって処方されるものとなります。
当院では上記4つの医学検査を必ず実施した装具以外は製作しておらず、日本の一般的な義肢装具士による採型や観察のみで製作する装具とは異なります。
また全ての装具の採型には医師が関わり、作成後の評価を必ず医師が定期的に行っています。
・医師による採型とチェックアウト
・医師による作成後の長期的な効果判定とフォローアップ
・必ず4つの医学的検査を実施して装具を確定
足病は特定の足の裏の部位に強い圧力が加わることで発症する場合が多い病気です。足の構造にあった装具を足の裏にぴったりと合わせて表面積を増やすことで圧力を分散します。また特定部位を別の素材などでさらにクッションのようにすることや、別の場所を上げ特定部位を空中にうかせるような姿勢などに矯正することで特定部位を除圧する場合もあります。足装具(特にインソール)は、足病の予防や悪化防止のために過度にかかる圧力を分散させ圧力を減らすことを目的として作製されます。
年齢に関係なく、足の骨格を正しい位置に矯正することで、正しい姿勢に矯正します。足関節の正常な位置は、上下左右など関節が動く方向の中心であり人それぞれ異なります。これをニュートラルポジションと足病医学ではいいます。ニュートラルポジションに関節を矯正することで、足よりも上部に位置する膝関節や股関節、背骨の位置も是正されることで、猫背や左右のアンバランスを予防することも可能となります。それにより、転倒などを予防することも可能となります。思春期(15歳ごろ)までは、歯の矯正のような骨格構造自体を矯正する役割があります。
足装具を使用することによって、歩き方も変化させることができます。歩幅や重心移動など、意識しても変えることが難しい歩行の状態が改善されます。具体的にはスカイブなどの傾斜や段差を利用して特定の方向に力が加わりやすく骨格や可動域にあわせて調整をします。歩行ガイドを行う装具は影響も大きいため慎重な検査や歩容解析のもと行うものとなります。角度や固さにより関節に別の圧力がかかりやすい特性があります。
インソールというとドラッグストアや靴屋、オーダーメイドシューズショップでも提供されていますが、医療用のものとの大きな違いは、検査に基づいて作成されているかという点で、具体的に次の構造が異なり全くの別物になります。
体重を支えるものであり、女性でも40キロ以上を常に支えます。歩くだけで、体重の1.3倍、走るとその3倍、ジャンプすると6倍以上の体重を支えることになりますので、相当の固さが必要になります。市販品は踏むとフラットな平面になるものが多くクッション材以上の効果はなく矯正効果は何ももありません。
足の形に合わせるという業者もありますが、それでは変形は矯正することができません。
医療用インソールはニュートラルポジションという足関節が正常な位置に矯正される高さ、角度でインソールを作成します。
正常な関節位置(ニュートラルポジション)は、人それぞれ違い、上下左右など関節が動く方向の中心であり、ROM(レンジオブモーション検査)や歩容解析を行う事で診断します。通常の店ではニュートラルポジションを判別することはできず、現存するAI機器においてもニュートラルポジションを判別するエビデンスのある機器は存在していませんので、足病医または足専門職(ドイツのポドロギーやオーストラリアのポダイアトリー)以外では診察が困難な技術になります。
現在はオーダーシューズの生みの親ともいえるドイツにおいても同様のトレンドになっていますが(日本国内のドイツ靴メーカーは異なる)、最先端の足病治療においてオーダーメイドシューズを治療に積極的に用いることは少なくなっています。治療用靴の歴史は100年以上の歴史を持つというと聞こえはよいのですが、実際には革製で重い靴になります。現在のスニーカーなどは大企業の企業努力により先進素材(NASA素材や宇宙素材など軽くて丈夫なもの)が多く特許化されています。これらの素材は軽く丈夫で柔軟性も多くのパターンがあり、治療に最適なものが多くあります。そのため、一般市販品または病気用に作成された大量製造のスニーカーに足底装具を合わせる治療方法が第一選択肢になっていることが世界的にもコンセンサスになりつつあります。
オーダーシューズを作成するのは足の原形をとどめないような大きな変形を持つ、リウマチ足やシャルコーフットのみとなり、それ以外はインソールや短いAFO(短下肢装具)といったスニーカーに入り装具を履いている事を周りの人にわからないように治療をします。
これは、QOL(生活の質)の維持の上で大変重要な考えで、履きたい靴を履けることがなによりも重要です。装具は履かなければ意味がありません。
また、子供などは特にそうですが、伝統的な重い靴を履くのはファッション的に古臭く、また重い靴は子供やアジア人の筋力では適応しにくいものです。
そのため当院ではオーダーシューズを作成するのは足の原形をとどめないような大きな変形を持つ患者様に限定してそれ以外の方にドイツ靴のようなオーダーシューズを推奨することはありません。
足が痛い場合は関節炎や筋膜炎などの炎症が起きている病気が多く、このような足病の方は歩行の際に地面から加わる力(床反力)が特定の場所に過度にかかっている可能性があり、除圧や骨格矯正、歩行ガイド機能が必要になります。医師による検査の上、除圧が必要な場合には、手術による骨格の矯正や、筋力向上や可動域向上のためのリハビリテーション(保険適用外)の治療に加えて、装具による矯正が適応になる場合があります。
筋力が低下してくると骨格のバランスが崩れ、転倒しやすくなったり、つまずきやすくなります。足底装具は地面との接地面積を増やすことでバランスを向上させ、装具のタイプによっては関節を固定して動きにくくすることでぐらつきを減らす事ができます。
また、正しい骨格位置に矯正することで全身姿勢が矯正され、重心位置が補正、バランス機能が向上します。
また、歩くと疲れやすい方は適切な歩行ガイドに矯正することで歩くために必要な力(筋力)を分散させることで歩くための力を軽減させて長く歩けるように骨格姿勢を矯正することができる場合があります。
子供の足は14歳ごろまでに骨化という軟骨から大人の骨になる成長過程にあります。生まれたばかりの子供の足は軟骨部分が大人より多いので柔らかくとても変形しやすい脆い構造になります。関節も全て作られていません。子供の成長段階で狭い靴を履く習慣やスポーツなどから足部が変形しやすく、大阪大学などの研究では小学生の40%以上に足部の変形があるともいわれています。子供にとっての足装具は、過度な変形を矯正しニュートラルポジションに近い足の形、アーチ上の足の構造を形成する上で矯正効果を持ちます。
当院の装具は全て米国足病医の監修となります。米国ではLコードという数千個のコードで装具の種類毎に番号がついており、病気によって処方可能な装具が厳密に保険会社によって決められています。これらはすべてエビデンスベースの処方であり、この方法と同一の処方を当院では行います。また、製作される装具については米国式の装具を製作できるJPA社の装具を採用しており、主要な部材や加工機器を米国より米国足病医のライセンス下(米国足病医以外では購入できない素材)で輸入したものを利用しています。
当院では、日本で一般的な装具製作過程である「義肢装具士に全て丸投げするスタイル」を完全に否定しております。米国と同様に医師が採型・処方の責任を持ち、装具士は医師の処方に基づく製作のみをするという方式を徹底しています。
医師が責任を持つことで、作成された装具が仮に不具合や副作用がある場合にもすぐに適切に修正を行い、治療効果を常に確認することで装具を適切に適応させることができます。
また、医学的検査を装具の製作に活用するためにも、装具士丸投げ型では必要なレントゲン等の骨格情報を伝達できないことから装具の質が下がることも予防しています。
装具は医学的な4つの検査(レントゲン、足底圧検査、歩容解析、関節可動域検査)に基づいて慎重に医師によって処方されるものとなります。これらの検査から装具を作成することが国際的な常識であり、ドイツのポドロギーやオーストラリアのポダイアトリーなどの足専門の資格(医師ではない)においても共通です。
日本でもドイツやオーストラリアの専門職の方が若干名いますが、医師資格がないためにレントゲン情報を取得することに苦労され、レントゲン無しでの作成も多いのが現状です。
当院では上記4つの医学検査を必ず実施した装具以外は製作していません。
装具は、ニュートラルポジションという現在の姿勢ではない姿勢に矯正をするために、数ミリの単位でポジションがあわないことがあります。その場合、想定される治療効果が得られない場合もあり、このような場合には装具を修正する必要があります。
当院では治療効果のない装具については医師が想定する治療効果を発揮するまで何度でも微調整を行い、治療を行います。
※修理費用や調整費用について作成時とは別の調整費用がかかる場合があります。